インターネット需要が進む中、ホームページを集客方法とする士業の先生も増えてきました。しかし、独立した士業の先生は、本業以外に営業活動も考えなくてはいけません。その点をふまえるとホームページは、本業をこなしながら集客ができる営業活動となります。
この記事では、ホームページで集客できる方法と手順、さらにホームページ制作業者選びのヒントを紹介していきましょう。
起業間近で何かと忙しい士業の先生に役立てられれば幸いです。
士業のホームページで集客はできる|実例と
昨今では、Web検索の需要が増してきています。
それは、インターネット環境の整備とスマートフォンの普及によるものです。その流れから、ホームページによる集客を営業活動の頼みの綱として独立開業する士業の先生も増えてきています。では、士業のホームページで集客がどれくらいできるのでしょうか。
ホームページで成果があった士業の事例
まず、士業のホームページで実際に集客に成功している先生の事例を紹介していきます。
事例1:弁護士事務所のホームページ|3週間で12件を獲得(電話10件、メール2件)
━━ 実際にホームページを使ってみて、いかがですか?
ホームページからの集客は、本当に順調です。
毎月必ず20~30件のお問い合わせを獲得できていますし、本当に助かっています。
今では、ホームページこそ最強の集客ツールだと思っています。
実際、チラシなどのアナログな集客ツールは、今は使っておらず、ホームページからの集客のみですが、とても順調です。
引用元:株式会社ミリオンバリュー
事例2:税理士のホームページ|HP公開2週間で顧問契約を獲得
公開2週間で問い合わせがあり、顧問契約に結び付きました。
現時点で、リニューアル後約半年が経過しますが、こまめに更新作業を行っております。更新を行うに当たって、疑問点や質問事項がたくさん生じますが、その都度、親切に回答いただき感謝しております。
引用元:株式会社ミリオンバリュー
今回、紹介したホームページで集客できることを実感している先生の事例には、共通点がありました。それは、ホームページで集客をするために外部に依頼したことです。
また、以前からホームページを所有していた士業の先生も多く、集客できていない状態からの実績になります。ここで紹介した事例から、士業の先生がホームページで集客をしている現状が理解できたことでしょう。
ホームページ集客のメリット3つ
独立して間もない先生の場合、少人数またはお一人で運営されているケースも多いことでしょう。そのような状況において、ホームページ集客は次の3つのメリットが得られます。
- 対面営業の負担を軽くする
- 営業販路を拡大できる
- 自社ブランドイメージを拡大できる
集客もしないで顧問契約が充実している士業の先生もいますが、新規顧客の獲得が当面の課題ではないでしょうか。その際、本業の合間に先生自ら営業活動をすることも少なくありません。
その営業活動が対面によるものだと業務の負担も増えてきます。その点、ホームページ集客は対面営業のような労力が必要ありません。インターネット上での営業活動になるからです。
また、ホームページ集客は対面営業以上に営業販路を拡大できます。インターネット環境のある全エリアが営業範囲となるからです。同時に、自社ブランドのイメージを拡大させることもできます。
それは、看板の設置やチラシ配布など人的労力を必要としない認知拡大となるからです。このようにホームページ集客は、人的リソースや時間コストを軽減させて効果を高めることが期待できます。
集客できる士業のホームページ6つの要素
士業のホームページ集客のメリットにふれてきました。では、集客できる士業のホームページはどのような特徴があるのでしょうか。ここで集客できる士業のホームページが持つ6つの要素を紹介していきましょう。
ターゲットが明確になっている
まず、集客できる士業のホームページは伝えるべき”ターゲット“が明確になっていることがあげられます。経営目線からだと、幅広い層へ訴求したくなることでしょう。
しかし、ターゲット層を広くすることにより、ホームページで提案する内容も具体性を欠くぼやけた訴求になります。
ホームページの閲覧者は、画面越しにいる個人です。そのターゲットとなる個人に向けた訴求がポイントとなります。
自社の強みで差別化できている
ホームページは、似たようなページが並ぶ検索結果ページに表示されるのが特徴です。たとえば「横浜 弁護士」で検索した場合、検索結果ページにずらりと弁護士事務所のホームページが並んで表示されます。
ただし、表示された中で選ばれるためには競合相手にはない“自社の強み部分”を訴求することが必要です。結果的に自社の強みを訴求することは、競合との差別化につながります。
業務の専門性を訴求できている
士業の先生からしてみれば、業務範囲の依頼を受けることは当然のことです。行政書士であれば、行政書士の業務範囲をすべて受ける体制でいることでしょう。ただし、業務範囲が広いからと言って、仕事の依頼も多くなることは考えにくいです。
士業に依頼するユーザーは、今現在の具体的な問題を解決してくれる専門家を探しています。
そのため、業務範囲の中でもより精通した分野を専門とすることが必要です。専門性が高ければ、ユーザーの具体的な問題解決として選ばれる可能性も高くなります。
信頼できる内容
士業の場合、依頼するユーザーも深刻な問題や重要な申請が多いことでしょう。
さらに、士業の先生と共有する情報なども個人的な部分になるため、ホームページが表す信頼性は外せない要素になります。そのため、士業のホームページはユーザーに信頼感を持ってもらうことが必要です。
安心して相談できる
士業のホームページは、信頼だけでなく「安心して任せられる」ことがユーザーの不安を少なくすることにつながります。ホームページでユーザーに安心感を与えるためには、わかりやすい料金体制や具体的な受注案件を明らかにすることが必要です。
実際に相談を受ける前にホームページから士業の先生の人物像が伝われば、相談者の抱く敷居も低くなることでしょう。
定期更新されている
ホームページの集客は、インターネット上に公開して放置したままだと効果を得られません。ユーザーは、ホームページの更新状況でも選ぶ場合があります。定期的に更新されていない古い情報のホームページでは、営業活動が止まっているようなイメージを与えるでしょう。
そのため、定期更新はユーザーに対して「常に活動していること」を訴求できます。また、定期更新は専門分野についての実績やコラムなど、コンテンツを充実させることにもなるでしょう。
士業のホームページ集客方法
次に、士業のホームページの集客方法を紹介します。ホームページを公開して、どのように訪問者を増やして集客していくのでしょうか。わかりやすく解説していきます。
SEO対策
SEO対策とは、検索エンジン最適化と呼ばれるインターネット検索の結果ページ上位に表示されるための施策のことです。検索エンジンのGoogleに対して行う基本的に費用のかからない集客手法になります。
SEO対策のメリット
- 検索キーワードに興味関心の強い質の高い見込み客の獲得
- 検索エンジンに評価されたホームページは資産にもなる
- 長期的な集客が見込める
- ブランディング効果がある
リスティング広告
リスティング広告は、検索連動型広告とも呼ばれる検索結果ページの上位広告枠に表示されるテキスト広告です。リスティング広告は、広告を表示させたいキーワードを選定してから出稿する有料の集客方法になります。
リスティング広告のメリット
- 検索結果ページに確実に掲載される
- 即効性がある
- 少額でも始められる
- 予算をコントロールできる
SNS経由の流入
また、検索エンジンの検索結果ページ以外にも集客場所があります。それは、ソーシャルネットワークサービス(SNS)経由の流入です。
SNSアカウントを取得して、個人ユーザーとのコミュニケーションの場からの流入を促します。代表的なSNSは、FacebookやTwitter、LINE、Instagramなどです。
SNSのメリット
- アカウント運用ならば原則無料
- 興味関心の強いユーザーとつながる
純広告の出稿
純広告は、アフィリエイト広告とは違い、多くのユーザーが訪問するポータルサイトなどの広告枠に掲載する方法です。
純広告は、先ほど紹介したリスティング広告以上に費用がかかります。ただし、出向先のサイト規模によっては自社の認知拡大が期待できる方法となるでしょう。
純広告のメリット
- 露出効果を期待できる
- 潜在顧客に訴求できる
- 確実に広告が掲載される
- 短期間の宣伝活動となる
メルマガ広告の活用
メルマガ広告とは、すでに複数の読者をかかえるメールマガジンを配信している運営者のメール内広告枠に出稿する有料の集客方法のことです。
属性の合う読者の多いメルマガの広告枠に文字広告を出稿する方法と、メール全体を広告として独占配信する形式があります。
メルマガ広告のメリット
- 配信先のリストを用意する必要がない
- 新規顧客の獲得が見込める
- 集客効果の確認が容易
アフィリエイト広告は士業には活用が難しい
アフィリエイト広告とは、自社のビジネスを他の人が運営するホームページやブログなどに広告として掲載する成果報酬型の集客方法です。
様々なブログ、情報サイトに成果報酬で掲載される広告出稿になります。掲載先の検索上位ページに見込み客が集まることにより、
- 成果報酬型のため獲得した分だけの費用で済む
- 検索上位のホームページのSEO効果を活用できる
- 集客範囲を拡大できる など
利便性の高い集客方法ですが、士業、特に弁護士にとっては危険な方法です。
考え方の元になっているのは大阪弁護士会の『インターネット法律相談ガイドライン』とされており、問い合わせ数に応じた報酬を支払う性質をもつ広告モデルは、『周旋』の可能性があることが示されています。
WEB サイト事業者と弁護士又は弁護士法人との間では、周旋の対価を授受してはならない。金員の授受は、実費および客観的かつ定額的に定められる広告料の範囲を超えてはならず、また WEB サイト事業者との間で弁護士報酬の分配と見られるような提携関係があってはならない。
1 WEB サイト事業者と弁護士らとの間では、周旋の対価としての性格をもった金員を授受してはならない。WEB サイトが「広告」プラス「周旋」の機能を有していても、授受される金員は、以下に定める広告料の範囲を超えてはならない。事件の「周旋」を受けたことに対する対価の授受は、いかなる立場をとろうと現行法上違法である。
2 広告料の定め方であるが、本来広告料は、需要と供給との関係で自ずと適正額が決まるという考え方もあるが、脱法的に広告料名目で周旋の対価としての金員が授受される危険性に注意しなければならない。そこで、広告料は、一定のスペース上への情報掲載料のように客観的かつ定額的に算出されなければならない。客観的かつ定額的とは、登録期間とスペースなどで、その算出過程が明白かつ客観的に明らかになることを指し、必ずしも不変的な額を指すものではないが、WEB サイト業者の裁量が入りやすいコンサル的な名目の広告料の授受は、周旋の対価との区別を曖昧にするもので、WEB サイト業者らの脱法的行為に手を貸す恐れが強く、許容できない。
ホームページで集客するための11のステップ
続いて、ホームページで集客をするための手順を11段階に分けて解説しましょう。前半の3段階は、ホームページで集客をするための準備に必要なステップとなります。
自社情報データの収集
まず、士業の先生が持つ知識や実績から、自社の売りとなる部分を自社情報データとして収集しましょう。具体的には、次のようなデータが売りになります。
- 自社の強み
- 対応件数
- お客様の声
士業では、上記のデータを訴求することにより顧客の関心を高めることができるでしょう。
ターゲットを選定する
次のステップは、準備した専門性のある自社情報を必要とするターゲットの選定です。ターゲットとなる顧客は具体的な1人の個人にまで絞り込む必要があります。その理由は、多くのユーザーが自身の情報収集ニーズから、「自分にとって役立つ情報がある」と認識してホームページの閲覧を始めるからです。
コンテンツ作成
続いて、選定したターゲットに向けた提案をホームページのコンテンツ(記事やデザインなど)にしていきます。コンテンツを作成する際は、ターゲットと自社の強み部分が常にかみ合っていることが大切です。
ホームページの目的
ホームページは、自社の強みとターゲットが明確になることにより、具体的な方向性が見えてきます。方向性が見えてきたら、ホームページの目的を明確にしましょう。
ホームページは長期的な継続運用となるため、目的が明確でないと途中で挫折してしまうこともあります。
そのため、ホームページの目的は準備段階で明確にしておくことが必要です。
ゴール設定
士業のホームページ集客は、ターゲット層と目的が決まることで、おおよその目安となる数値目標を立てられます。数値目標をゴールに設定してホームページの制作に取り掛かりましょう。
ホームページ制作(デザイン・コンテンツなど)
準備段階となる6ステップにより、いよいよ集客できるホームページの制作に入ります。ホームページの制作には、この記事の冒頭で紹介した集客できるホームページの6つの要素をふまえて進めていきましょう。
特に、ホームページのデザインやコンテンツは、閲覧するユーザー目線を考慮した内容であることが大切です。
分析
できあがったホームページをインターネット上に公開してから、ホームページの運用が始まります。運用では、「公開したホームページが現在どのような状況にあるのか?」判断材料が必要です。
判断指標として、検索エンジンが提供するアクセス解析ツール(ホームページの訪問ユーザーの動向を分析するツール)を活用します。
改善
続いて、ホームページの運用では、分析により抽出された問題点を改善していくことも重要です。改善をくり返していくことにより、検索エンジンとユーザーの両方に評価されることになります。
更新
さらに、ホームページは更新が必要です。その理由は、ホームページにたどり着いたユーザーに「常に情報を見直している」「専門分野の新しい情報を提供している」ことを伝えるため。
また、その姿勢は検索エンジンからも評価を受けて、検索結果ページに上位表示される要因にもなります。
集客チャネルの拡大
さらに、検索エンジンからの流入以外の集客チャネルも活用することにより、集客の間口を広げることができるでしょう。SNSや広告の運用など、ホームページへの流入経路を拡大していきます。
士業のホームページ制作業者選びのポイント
今まで紹介してきたホームページ集客の方法や手順を参考にして、制作業者に依頼する場合、どのような点にポイントをおいたら良いのでしょうか。ここでは、士業のホームページ制作業者選びのポイントを紹介します。
- 制作業者の得意分野の確認
- 制作業者の実績
- 費用相場を知ること
- 対応する担当者との相性
- 士業を専門とする点
- SEO対策に強いこと
上記のポイントを制作会社選びのポイントにすることにより、士業のホームページで集客に強い制作業者を選ぶ目安となるでしょう。
制作目的と得意分野が合っていること
制作会社の得意分野が、ホームページの目的に合っているかを見ましょう。士業ホームページ制作を請け負う会社はいくつも存在しますが、それぞれがもつ強みに違いがあります。
- 税理士が得意、弁護士に実績ありなど
- SEOに強み
- リスティング広告が得意
- マーケティングの知見が豊富
あなたが税理士であれば税理士が得意な会社、Googleの上位表示を狙うならSEOに強い会社を選ぶなど、目的に応じて依頼する業者を選びましょう。
ホームページの制作実績が豊富なこと
先述したような会社の制作実績や、具体的にどういった成果を挙げたかどうかも選ぶ際のポイントです。
- 作成したホームページや取引先の累計
- 依頼客の具体的な集客や成約率
- 成功事例や失敗事例
実際の制作物と一緒に、具体的な数値や経験からくる制作事例のチェックもおすすめします。
担当者との相性が良いこと
制作会社の担当者と共同で作業を進めるため、相性が悪いとホームページ制作に支障をきたします。依頼によっては数ヶ月単位で付き合うので、気が合うか・信用できるかは重要な要素です。
- 質問に回答してくれるか
- 威圧的な態度を取らないか
- 担当者に実績や経験はあるか
- やる気や情熱があるか
最終的には「この人に仕事を任せられるか否か」で判断しましょう。
意図した提案をしてくれること
こちらの希望を聞かず、依頼に合わない提案をする制作会社には要注意です。いくら実績があっても、依頼意図を理解しない業者の仕事では良いホームページは作れません。
提案内容に以下のことが反映されているかの確認をおすすめします。
- 事務所の強みを理解している
- こだわりのポイントを汲んでくれる
- こちらの予算にも配慮してくれる
- ホームページの目的を達成できるプランを提案してくれる
トラブル回避のため、業者からの提案書はくまなくチェックしましょう。